我の拡大
我を拡大してゆく人生とは何か。
我を拡大してゆく人生とは、人生を生きた分だけ、その生きた証を何かに我をつけることによって証明しようとする生き方。
たとえば、自分の人生を通してこれだけお金が溜まったのだと思うことや、物を集めてこれが自分の生きた証なんだと思うこと。
この特徴は自分が死んでも、これらのものが残るから自分が生きてきて良かったんだと思うこと。
つまり、この現実世界こそ自分にとって間違いのない真実であり、たとえ自分がこの世から消えてしまったとしても、これらのものが残るから、自分は生きてきて良かったんだと思うこと。
このように私たちはこの現実世界に何かを残すことが自分の人生だと思っています。
でも、これは自分が死んで消えてもいいと言いながら、自分が死ぬなんて考えていないからできること。
それは自分が生きていることが大前提だから、この現実世界を問題にできる。
何だろう。私たちは何かを自分のものにして我をつけることで、それが自分の一部のように錯覚している。
自分が死んでもこれが残るからと言いながら、本当のところは自分の我のつけたものに無常が来ていないから、自分にも無常なんて来ないんだと思っているように感じられる。
だから、自分が我をつけたものに無常が来るなんて認められない。これは自分のものだと我を拡大して、我をつけたものに無常が来ないことに安心して、自分にも無常なんか来ないのだと思って安心している。
これが我を拡大するということなのですね。
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