戒、定、慧の三学

三学とは具体的には戒、定、慧のことです。
 戒とは、仏教の教えの通り日常生活を正すことで、煩悩に塗れた心から離れることです。煩悩の源は不安です。私たちは不安を誤魔化す為に欲を起こし、自分の心を見えなくさせます。しかし、どんなに欲によって心を誤魔化したとしても、心の奥底にある不安が消える訳ではない。だから、不安と向き合う為に、現実を誤魔化すような日常生活から離れてゆく。これが戒です。具体的には整理。生活の中で今使っているものと使っていないものとに分けて、使っていないものを捨てる。そして、自分の身の回りのものを今使っているものだけにする。これが戒の出発地点です。そして、残ったものに置き場所を決め、出したらしまう、開けたら閉める、使ったら片付けるを繰り返してゆく。そうすることによって、散り乱れている自分の心が見えるようになる。これが戒です。
 定とは、散り乱れた心を静めること。静めたならば、限りなく穏やかな心になります。その為に自分の心と向き合い、心が散り乱れるもとである。分別心を取り除いてゆく。これが定です。
 慧とは、執着によって世界を歪めることなく、ありのままに世界を見ること。たとえばどんなに死にたくないと思っていても、人は必ず死ぬということを知る。これも慧です。定によって心が静まると、世界のあらゆるものを見ても、それによって心が揺れるということが無くなります。言ってみたら、何をしても、どこに行っても、心が動くことはなくなる。その為、現実世界にとらわれることが無くなります。そこで見えるもの。それは心だけ。この心こそ、人生の中で最も大切なものだと分かります。すべては心しかない世界に出る。これが慧です。だから、この現実世界をどう生きるかよりも、自分の心をどう幸せにしてゆくか。苦しみや恐れを感じなくさせるか。それが大事になってきます。現実世界をどうするかが問題になっていた生き方から、この心をどうしたら苦しみを無くしてゆけるか。どうしたら幸せを感じられるようになるか。心を中心とした生き方に変わること。これが慧です

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