忿

忿とは、カッとなって起こること。
多くの場合、カッとなる一番の原因は不安にあります。自分の中で例えば、自分は無視されているのではないかという不安があった場合、いつもまわりの人に対して無視されているのではないかという目で見るようになります。そして、無視されたくないから、自分のまわりの人を無視しないように必要以上に気を遣うようになる。
でも、それは相手が無視されたら嫌だろうなという相手に対する思いやりからではなく、自分が無視されたくないからというエゴ。だから、自分がこんなにも無視しないように気をつけているのだから、まわりの人も自分の存在を無視しないようにしなさいと強制するようになります。 
でも、そうやって、無視しないようにしている相手というのは、自分の正義に従ってくれる思い通りになる人だけ、思い通りにならない相手に対して、怒りを起こし、相手の存在を無視します。この都合の悪い相手に対して無視をするという種まきの報いによって、自分は無視をされているのではないかという不安が起きる。そして、無視をされない為に、いや、それ以上に無視をしてくる人を責める為に、まわりの人を無視しないように気を遣うのです。
この人の心には、いつも自分の存在を無視されるのではないかという不安がある。だから、少しでも無視されたと感じたならば、相手に対して怒りを起こし、こんなにも私は気を遣っているのに、どうして無視するんだと猛烈に相手を責めてしまいます。これが忿です。
この忿は無視をされているのではないかという不安が強いほど、また、無視をされない為に一生懸命気を遣うほど、激しく怒りとなって現れる。自分はそんな無視される人間ではないのだと、無視される自分を否定するほど、無視されたという現実を認めることができず、怒りを起こして相手を責めて、相手の存在を否定することで、自分は無視される人間ではないのだ、という所に立とうとする。
これが忿なのです。

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