後悔する心

次に不定とは、善になるか、悪になるか定まっておらず、状況によって善にも悪にもなるものを言い、この不定には、悔、眠、尋伺があります。
まず、最初の悔とは、何か判断を誤って失敗し、後悔することを言います。
後悔とは、後に悔いると書くように、物事が終わってしまった後で、あの時、こうしておけば良かったと今目の前で起きている現実を受け入れることができず苦しむことです。だから、どんな現実であっても、仕方ないと受け入れることができたら、後悔して苦しむことはありません。
覆水盆に返らずという、ことわざもあるように物事が起きてから、あの時こうしておけば良かったとどんなに後悔しても、もう時間を巻き戻してやり直すことはできません。過ぎ去った月日は戻らず、立ち止まっていてはくれません。
だから、日々悔いがないように時間を大事にしなければならないし、過ぎ去った過去に執着してクヨクヨしても意味がないのです。
この後悔が善にも悪にもなるというのは、物事が上手く行かず、失敗して後悔した時、その苦しみをどう受け取るかによって決まります。
どんなに苦しんでも、あの時に戻れる訳ではないと思って、これからは後悔しないように時間を大事にしようと思ったり、適当に選択するのではなく、よく考えて選択しようと反省したのならば、失敗して後悔したことも、いい経験だったと言えるし、何時までも過去にとらわれて、クヨクヨし、前に進まなかったり、あの時、あんなことさえしなかったらと、自分を責めたり、あいつさえあんなことをしなければと他人を恨んだり、責めたりしたならば、後悔をしたことによって、余計悪を造り、苦しむことになります。
このように受け止め方によって、善にも悪にもなるので、後悔することを不定と言われるのです。