我執14

そうやって、ホコリをとってゆくと、このホコリとは目に見えるホコリだけのことではなく、目には見えない心のホコリのことでもあるのだなということが知らされてゆきます。

つまり、チリを払わんとは、実際のホコリを取ってゆくことを通して、心のホコリを取ってゆくことなんだなということが知らされてゆくのです。

では、心のホコリとは何か。それは自分なんかどうせまわりの人から相手にされない人間なんだという思いです。人は心にホコリが溜まるとどうせ自分なんかみんなから相手にされない人間なんだと思うようになる。それは自分が物に対してやっていることが自分に跳ね返っているからです。

ホコリとは使っていないもの、また、見ていない所に溜まる。だから、ホコリが溜まっている所は誰からも見てもらえないから溜まるのです。ホコリを取るのは、そうやって物が放置されてホコリが溜まっている状態が可哀想だから、ホコリを取ってあげるのです。それをこれは物だからと放置すると、やがて放置されているのが当たり前の人間になってゆきます。

それは無意識のうちに、まわりの人から放置されているのではないか、ないがしろにされているのではないかという不安を生み出してゆく。結局、物だからいいだろうと思ってやっていることが自分に跳ね返ってくる。これが恐ろしいのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました