安楽仏土の依正は

安楽仏土の依正は 法蔵の願力のなせるなり 天上天下にたぐひなし 大心力を帰命せよ
阿弥陀仏に救われた人は、自分の世界を阿弥陀仏の極楽浄土のような世界にしてゆく。そして、その世界に相応しい人格へと自分を変えてゆく。これが安楽仏土の依正。私たちは自分の世界に不満があると他人を責めたり、嫌な人を避けたり、追い出したりして、少しでも楽な世界を作ろうとする。しかし、そうやって嫌なことから避けて、楽な世界にいたとしても、やっぱり自分の心は何も変わらないので、そこでまた色々なものが障りになり、苦しまなければならない。幸せとは、苦しくても、現実を受け入れ、幸せな環境になるまで努力してゆかなければならない。それは途方もないほどの時間がかかることであり、多くの人はやろうと思って始めても、頑張っても思い通りにならない環境に嫌になり投げ出してしまう。
だから、すでに出来上がった幸せな環境がいいと思って、死後に花降る極楽浄土を求めるのかも知れない。でも、どんな素晴らしい環境に行ったとしても、そこでまた世界を見るのは自分の心なので、心が変わらなければ、世界は変わらないまま、どこへ行っても、不平不満で苦しまなければならない。
だからこそ、幸せになる為には、今の環境で努力を続けて、そこを幸せにしてゆかなければならないのである。しかし、それには粘り強く、努力を続けてゆかなければならない。そんな心は私たちにはない。だからこそ、阿弥陀仏は法蔵の願力によって、どんなに今の環境が思い通りにならない苦しい環境であっても、諦めず努力を続けてゆくことができる心を与えて下さるのです。
自分の望む世界は自分が作り出すしかない。
そう思って、その世界が出来るまで、粘り強く続けてゆくことができるのは、天上天下法蔵の願力しかない。だから、そんな大きな心にして下さる力である阿弥陀仏に対して帰命しなさいと教えられているのです。

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