なぜ私たちは苦しまなければならないのか?1

なぜ私たちは苦しまなければならないのか?

 自分の周りには、自分と同じ業の人たちが自然と集まってきます。このように、私の周りに出来た同じ業の人たちの集まりを業界と言います。私たちは、自分の業によって生み出された業界に閉じ込められて苦しんでいます。苦しくなると、私たちは自分の環境に原因があると考えます。例えば、「自分が苦しいのはあいつのせいだ。あいつさえこの世からいなくなったら楽になれる」といった感じです。つまり、「今の環境を離れ別の環境に行けば、楽になれるのではないか」と思っているのですね。そこで、周りの人間関係を断ち切って、他の環境に移ろうとします。しかし、いくら他の環境に移っても、自分の周りには自分と同じ業の人たちが集まってくるので、また元の環境と同じような世界がつくられるのです。ですから、どんなに苦しみから逃げようとしても、逃げることは出来ない。それなのに、「どこかに楽になれる世界があるのではないか」と思って、人生という名の旅を続け、苦しみ続けているのが私たちなのです。これを仏教では苦諦と言います。結局、自分を取り巻く環境は自分の業によってつくり出されているので、業が変わらない限り、どんな行動をとっても苦しみから離れることは出来ないのです。

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