なし売り仙人

こんにちは上田です。
いつも読んで頂きありがとうございます。
今日は、昔ばなしのなし売り仙人の話を通してです。
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にぎやかな街の その広場には、いつも いろいろな店が並ん でいて、時には 自分の畑で取れたものや 家でこしらえたもの なども売っていて、それはそれはにぎやかなものでした。
その日は その中でも また とくに 人だかりのしていると ころがあって、ひとりの男が 荷台にたくさんの梨をのせて、道 行く人を呼び止めては売っていました。
「さぁ さぁ、うまいよー!この梨は 格別うまい梨だよ。な ぜかといえば、俺が 丹精こめて育て上げた木になったものだか らだ。 どうだい?この大きさ!こんなに大きな梨を見たことがあるか い? 大きな梨は 大味だというのは 俺様の梨に それはない! ためしに 一切れ、どうだい? ほれ、お前さんも。」
男は そうやって 集まってきた人たちに 小さな一切れずつ を渡して 食べてもらうと、その梨を食べた人たちは 口々に
「やあ!本当だ。」「これは うまい!」「なんて 甘くて汁 けがたっぷりなんだろう!」「こんな梨は 今まで食べたことが ない。」「うまい、うまい。」
と、大層な評判。 勿論 梨は どんどん 売れていきます。
「さぁ、さぁ、買った、買った!うまい梨だよー!」
少々値の張るその梨が売れるたびに 腰の銭袋が膨らんで 気 持ちの良い音を立てて 揺れるのです。 男は 面白くてたまり ません。
梨売りは なおも 声を張り上げて 人々に呼びかけました。 ?
するとその時、ひとりの老人がやってきて、梨売りの男に言い ました。
「皆さんが うまそうに食べているその梨を わしにも一個 く れんかね?」
男は その老人のみすぼらしいなりを じろじろとみて いい ました。
「そりゃあ いいけど、じいさん、金はあるんだろうな?」
「いやいや、金などあるものかね。この年だ、ろくに働くことも 出来ずに、毎日 少ない金で食いつないできて、昨日 すっかり 使い果たしてしまった。 今日は、朝から何も食べていないし、のどもからからだし、お いしそうな お前さんのその梨で、渇いたのどを潤したいと 思ってな。」
「まず きのどくなことだが・・、しかし、金がなくては 話 にならん。」
そういって 男は 梨の乗っている荷台のまえに 立ちふさが りました。
老人は なんどか 同じことを繰り返して、梨をもらえるよう に 頼んだのですが、言えば言うほど 男は 老人の話など聞こ えなかったようにするのです。
集まった人たちは そのやり取りを聞いていて、なんだか 老 人が気の毒になりました。そこで その中で 沢山梨を買ったひ とりが、老人のそばに来て、そっと 一個の梨を手渡しました。
「おや、下さるんですか?ああ、これは ありがたい!なんと も ご親切に!本当に ありがとうございます。では いただき ます。」
そして がぶっと勢いよく 梨にかぶりつくと、あっという間 に 平らげてしまったのですが、老人は 最後に 口の中から ぺっぺと種を吐き出し、掌にのせました。
「皆さん、今の梨は 本当においしかった。この梨をくれた人 だけではなく、わしを 気の毒だと思ってくださった 皆さんの ために、今度は わしが 皆さんに梨をごちそうしましょう。」
そういって 足元の地面を靴の先でけって 浅い穴を掘ると、 梨の種をそこにまいて、水を持っていた人に 水を たっぷりと かけてもらいました。
みんな 何が始まるのか 興味津々、周りを囲んで見守ってい ます。 男も 一緒に 見ていましたが、年寄りのたわごと と 馬鹿 にしていました。 ??
水がすっかり 掛けられると、老人は 皆を見回して言いまし た。
「さて、みなの衆。これから わしのこの杖で 地面をトンとた たきましょう。そうすると・・」
そういって 老人は 地面を トンっとたたきました。 皆は 何が起こるかと 息を凝らして 見ています。
すると、あら あら、ふしぎ!さっき埋めたばかりの梨の種か ら ちいさな緑の芽が出てきたではありませんか!
皆が 驚いて騒ぎ始めたので、梨売りの男も あわてて そば に来て みなの後ろから のぞいてみました。
梨の芽は するすると伸びていき、それも 伸びるたびに 太 くなって、あれよあれよという間に 見事な一本の木になりまし た。
人だかりは さっき以上にすごくなり、みんな この不思議に 夢中です。そして その中には あの 梨売りの男も いまし た。
さて、老人が地面をたたいて大きくした木は、みずみずしい緑 の葉を茂らせたかと思うと、木のあちこちで 美しい白い花を つぎつぎに咲かせ、あたりには 甘いよい匂いが一杯に広がって きました。
皆、その香りをかぐだけで なんだか とても 幸せな気分に なりました。
そこに さぁっと風が吹いたとおもうと、花ははらはらと散 り、次には 小さな実がなって、それは どんどん 膨らみ、つ いに 大きく 立派な梨になりました。
人々は 驚き 喜び、手を打って はやし立てました。
「さぁ、さぁ 皆さん、どうか お好きに食べてください。わ しの梨も あまくて おいしいと思いますよ。」
人々は皆、それぞれ 老人の梨の木から 梨をもいで、食べて みました。
それは なんと甘く なんと汁けのたっぷりした おいしい梨 だったでしょう! 本当に 今まで食べた どの梨よりも おい しい梨だと だれもが思いました。
人々が あまりに おいしい、おいしいというものですから、 あの梨売りも 一口だけでも ほしいと思いましたが、いまさら その梨をくれとも いえず、みなの後ろで うろうろしていた のですが、それに気づいた老人は 一個の梨をもいで、男のとこ ろへ行き、 「さぁ、あなたも 食べてください。どうぞ、どうぞ。」 と 手渡しました。
回りの人々は 老人の気持ちに 手をたたいて喜びました。
梨売りは 恥ずかしくなりながらも その梨にかぶりつき、 びっくりしました。本当に おいしいのです。
梨の木には まだ いくつも 梨が残っていましたので、梨売 りは、それを 全部 売ってくれないか と言いました。
しかし、老人は にっこり笑って 首を振ると、 「この梨は、親切にしてくれた 町の衆のもの。どうか みなの 衆、すっかりもいで、たっぷりたべてくだされや。」 といいま した。
それを聞いて 木登りの得意な男達は、つぎつぎに 木によじ 登って 梨をもいでは 下で待っている人たちに 投げてやり、 梨は とうとう 一個の実もなくなってしまいました。
皆は 沢山のおいしい梨を手に入れることが出来て とても 満足でした。
そこで 老人に 口々に お礼を言い、あるものたちは 老人 を 家に呼んで食事をふるまおう といいだしたりもしました。
ところが、老人は また にっこり笑うと首を振って 言いま した。
「ありがとう、ありがとう、みなの衆。そんなに喜んでもらっ て わしのほうがうれしいよ。 どうか これからも 困った人 には 親切にしてやってくだされや。」
そして 突然 沸き起こった薄い煙に包まれて、老人は 人々 の見ている前で、姿を消してしまいました。
皆は 驚きながらも口々に、やっぱり 仙人様だったのだ、と か 大した仙人だったなぁ・・、とか 人に親切にすると ちゃ んとよいことがあるんだなぁ・・などと言いながら 大事に梨を抱 えて 夫々の家に 戻っていきました。 ???
梨売りの男は、あの老人が 仙人だったことに気付いて、なん と馬鹿なことをしたのか と いまさらのように悔やみながら、 自分の荷車のほうへ戻っていきました。
しかし・・、なんと 荷台の上には 一個の梨もありません。 おまけに 荷車の片方の持ち手の棒も なくなっているではあり ませんか。
そこで 男は はっと 気づきました。 「ああ、そうか!あの木は 俺の荷車の持ち手で、あの木になっ た梨は 俺の梨だったのだ・・!ああ。。なんてこった。」
人々のまばらになった 日の傾き始めた広場を後に、梨売りの 男は、空の荷台の片方だけの持ち手を 引きにくそうに引いて、 町外れの自分の家に 帰っていきました
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この話の中の梨とは、日本人の持っている貯金
仙人とは政治家
そして、みんなが楽しく梨を食べている姿とは、国債を発行して、国民にばらまいている状態。
そして、みんなが仙人に感謝している間に、梨が全部無くなってしまうとは、借金してばらまいている間に、自分の持っていた貯金が無くなり、紙幣が紙ぐず同然となる。
今、自分たちの貯金という梨を食べ尽くそうとしていることを忘れてはならないなと思いました。

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