聖道権仮の方便に

念仏成仏これ真宗 万行諸善これ仮門 権実真仮をわかずして 自然の浄土をえぞしらぬ  

自分の心でいつも念じているものを仏に変えることによって成仏まで進んでゆける。これが浄土真宗の教えだ。この念仏をしないで、善に励んでいるのは、念仏をする為の方便の教えであるから、仮門と言われる。

私たちはできない人をいつも念じているので、仏を念ずることがない。この念は自分がどんなに仏を念じたいと思っても、念ずることは簡単にできるものではない。だからこそ、方便の教えが必要であり、方便を通らずして真実に入ることができない。ところが、浄土真宗の人は、念仏だけすればいいのだと思って、心から善に励むことをしない。だから、口で南無阿弥陀仏と唱えるだけで、念仏とは仏を念ずることなんだと分かっていないのだ。念とは、思い浮かべることではない。いつも自分の中で念じているもの。それを知りたければ善に励んだらいい。善に励むと、やっていない人のことが気になり、なんであの人は善をやらないのだと怒りを覚える。このやっていない人が気になるのは、やらない人のことをいつも念じているから。だから、善をやる時、なんで自分だけやらなければならないのかと思ってやるのではなく、善は私を幸せにするものだから、自ら進んでやろうと思ってやるようにする。そして、善をやっていない人を見ても非難しないようにしてゆく。私たちはとかく善をすると、やらないで怠惰な人を見て非難したくなる。そこを如何に許してあげるか。善は自分の為にやっているのだから、他人は関係ないと思えるか。それが自分の念を変えてゆく。善をやることによって、心から善をしようと思えるようになる。善をすることで徳を身につけ、自分も素晴らしい人間になりたいと思えるようになる。これが念仏。この念仏して、自ら進んで善に励んでゆくのが念仏成仏。これが浄土真宗なのである。その為に万行諸善に励む。真実に入る為には方便を通らないといけないことが分からないから、自然に浄土へと往生できる道を知らず、念仏成仏だけで浄土へと往生できると思ってしまうのです。
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